どの国にも、冠婚葬祭で着る伝統的な衣装があります。例えば、日本の結婚式で紋付袴と白無垢を着るように、韓国にも伝統的な婚礼衣装があります。日本にいると、韓服の婚礼衣装を見る機会がほとんどないので、知る方は少ないでしょうが、より多くの方に韓服の魅力を知って頂くために、韓服の婚礼衣装についてほんの少しご紹介致します。

結婚式で花嫁さんが着る「闊衣（ファルオッ）」は、韓服の中で最も格式の高い衣装です。王朝時代に王妃が普段着として着用していた衣装でしたが、一般庶民も婚礼の日だけは着用が許されていました。王妃が着ていた衣装とあって、宮中の華やかさを連想させる派手な色使いと、牡丹・鳳凰などの美しい沢山の刺繍が配置され、目を引く豪華な衣装です。牡丹は身分が高いことを象徴し、蓮花は清く崇高なことを意味するというふうに、刺繍の柄にはそれぞれ意味があり、結婚式を祝う人々の思いが衣装に込められています。宮中で使われるの物には豪華に金箔がなされたのに対し、一般庶民が着用する際には付けられませんでした。袖元に配色された色は、宮中では2色だったのに対し、一般的には5色以上の鮮やかな色が使われました。

「円衫（ウォンサム）」は、王族や高級官僚の夫人といった上流階級の女性たちが礼服として着ていた衣装です。手が隠れるほど袖が長く作られており、チマチョゴリの上から着用します。黄円衫・紅円衫・緑円衫など様々な色の円衫がありますが、黄円衫は皇后、紅円衫は王妃だけが着用を許され、その他の女性は緑円衫を着用していました。そのため、一般庶民の結婚式でも主に緑円衫が着用されていたそうです。ファルオッの襟の形が古来より伝わる直線だったのに対し、ウォンサムは中国より影響を受けたであろう円形の襟となっているところも、特徴的な差であります。

テンギとは髪飾り用の大きなリボンのことで、ピニョ（簪）の前つける垂らすアプテンギと、後頭部より下に向けてつけるトトゥラクテンギの2種類があります。テンギは黒い絹で作られており、刺繍や金箔、宝石類などで飾りつけがされています。ポンチャム（鳳簪）は、新婦の結った髪に挿すかんざしのことです。ポンチャムは鳳凰の頭を模した飾りがついています。その他、龍の頭をしたリョンチャム（龍簪）も使われました。

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